この記事は未経験からフリーランスのデザイナーになったという方や、プレゼン経験の少ない初心者のデザイナー向けです。
この記事でわかること
- ロゴデザインのプレゼンテーションの方法
- コンペにも効果的なプレゼン資料の作り方
- クライアントが求めていること
クラウドソーシングのコンペがなかなか勝ち取れないという方は、プレゼン方法を見直す必要があるかもしれません。
実はロゴデザインは、デザインが素晴らしいだけじゃダメなんです。
え?!と思った方や、ビジネスマナーがよくわからないというフリーランスの方は、この記事の通りにやればまず間違いありません。
ぜひ最後まで目を通してくださいね。^^
こんにちは!デザイナー歴14年、フリーランス6年目のマムです。現在、小学生を子育てしながら在宅でグラフィックデザインとwebデザインのお仕事をしてます。
プレゼンで伝えるべくは『信頼感』
ロゴデザインのプレゼンで一番大切なことは、いかにして信頼感を伝えるかということです。
なぜならロゴデザインは、納品後も手戻りの多い仕事だからです。
例えば後になって「〇〇にも使用したいから別の保存形式のデータが欲しい」などという依頼は日常茶飯事。
つまり納品したら終わりではないため、後々まできちんと対応してくれるデザイナーかどうかも含めて見られているという意識を持つことが大切です。
コンペなら特に、デザインを選定するのと同じくらいに、ビジネスパートナーとしてやり取りしやすい人かどうかも見ています。
あまりピンと来ないという場合は、逆の立場になって考えてみれば簡単です。
もしあなたが自社ロゴのコンペ担当になったとしたら、どんなデザイナーと仕事をしたいでしょうか。
何の説明もなしにデザインだけをポンと送ってきたデザイナーと、どうしてそのようなデザインになったか説明を付けて送ってきたデザイナーと、どちらが親切かということです。
もしも上司に「このロゴのこのカタチや色にはどんな意味があるのか?」などと聞かれた時に、答えに困らない説明を付けてくれた方が助かりますよね。
ですからプレゼンでは、いかに「この人なら安心して仕事を任せられそう」と思わせることができるかが重要なのです。
プレゼンのポイント4つ
- 三つの方向性で3案見せる
- コンセプトを明示する
- 全てのデザイン要素の『理由』を明示する
- 必ず『おすすめ』を伝える
三つの方向性で3案見せる
特別な指定がない限り、三つの方向性で3案は提案したいものです。
1案だけというのは避けましょう。
というのも少しテクニカルな話になりますが、1つだけを見せるより、比較するその他2つを見せた方がスムーズに決まりやすいのです。
コンペの場合は特に比較案を見せた方が、説得力が増して採用されやすい傾向があります。
これは数々のコンペのプレゼンをしてきた経験からですが、『3案』というのがミソです。
理由は、クライアント側も『ただ見た目がカッコイイから』というだけで決定するわけにはいかないので、
「あれでもなく、それでもなく、これだよね」と納得して決断するのに『3案』はちょうど良い数なのです。
ここで注意しなければならないのは、比較するための他2案は手を抜いて良いというわけではないということです。
提案する3案というのは、必然性のある3つの方向性でなければなりません。
(方向性の絞り方についてはこちらの記事です→プロ実践の具体的なロゴデザインの方法5ステップ)
決め打ちで1案というのは、『他にも見てみたい』という心理をより強くします。
そして『比較案を見せてくれない』=『あまり親切ではない』という印象に捉えられてしまうので注意しましょう。
コンセプトを明示する
A案・B案・C案それぞれの方向性のデザインコンセプトを明示します。
ここでのデザインコンセプトとは、方向性が生まれた経緯でOKです。
かっこいい文章である必要はありません。
どのような経緯で生まれた方向性か、考えの柱をそのまま短くまとめます。
全てのデザイン要素の『理由』を明示する
書体、カタチ、モチーフ、色など、すべての要素についてなぜそうなったかの『理由』を明記します。
実はここが、デザイン力と同様に『デザイナーとしての力』が計られるところです。
デザインの意図はすべて言葉で伝えなくてはなりません。
特にロゴデザインは永く使われるものなので、『デザイナーがどう考えてデザインしたか』ということはクライアントにとっても重要なことなのです。
必ず『おすすめ』を伝える
必ず一つ『おすすめ』を理由と共に伝えます。
これはクライアントがデザインをセレクトする際の指標となります。
伝え方は、プレゼン資料内に記載しても良いですし、メールの文面に「おすすめはA案です。理由は〜」と添えてもOKです。
プレゼン資料の作り方
具体的な作り方です。
- イラストレーターで作るのがベスト
- A4ヨコ/1案につき3〜4ページのPDFにする
イラストレーターで作るのがベスト
資料作成アプリについてです。
プレゼン資料の作成にはパワポやCanvaを使っても良いですが、できればイラレを使うのがベストな方法です。
理由は、イラレで作ったデータはイラレでレイアウトした方が効率が良いからです。
(※フリーランスでのロゴ制作はイラレ推奨です)
その他のアプリだと、デザインデータを『貼り込み用の素材データ』としてJPEGなどに書き出す必要があり、余計な手間がかかります。
また後々『ロゴの使用規定(ガイドライン)』などを作成しなければならなくなった時などに、イラレで残しておいた方が何かと使い勝手が良いからです。
A4ヨコ/1案につき3〜4ページのPDFにする
資料の体裁についてです。
- プリントしやすいA4サイズ
- どんなPC環境でも閲覧できて回覧しやすいPDFで
用紙サイズが大きすぎてプリントしずらかったり、ページが多すぎたりするのはビジネスマナーとして良くないので注意しましょう。
これは直接合ってプレゼンする場合も、メールで送信する場合も共通です。
直接会う場合にも、事前にメールでPDFを送っておいて、プレゼン当日はプリントしたものを持参します。
各ページのレイアウト
実際のレイアウトをページごとにご説明します。
1ページ目:デザイン案
1ページ目には、デザインしたロゴマークをカラーとモノクロでレイアウトします。
2ページ目:コンセプトやデザインの説明
デザインコンセプトやデザイン要素についての説明文を入れます。
色指定もこちらに入れます。
(色指定について詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください)
必要に応じて次ページに渡っても構いませんが、文章はできるだけ短くします。
3ページ目:展開例
ロゴの使用目的に合わせて展開例を載せます。
使用目的がはっきりしている場合にはモックアップ(使用例)を掲載しても良いです。
ただしモックに使用する画像は、実物かできるだけ実物に近いものを使います。
現実のイメージとはかけ離れた画像にモックアップするのは意味がなく逆効果です。
それではクライアントから「自社について理解していないのでは?」と思われてしまっても仕方がありません。
ですので無理にモックアップする必要はありません。
それだったら、『こういう時にはこう使う』という『展開例』を整理して見せたほうが、ロゴの使い勝手がわかりやすくて効果的です。
気をつけよう!初心者がプレゼンでやってしまいがちなミス3つ
- たくさん提案しすぎ
- プレゼン資料に個性を出しすぎ
- コンセプトや説明文が遠回しで分かりずらい
初心者にありがちですが、たくさん出来たからと言って手当たりしだい見せるのはNGです。
制作の途中では何十個になるかもしれませんが、A案・B案・C案、それぞれの方向性の中でツメにツメた渾身の1つ(計3つ)を提案するようにします。
またプレゼン資料のヘッダデザインなどに個性を出さなくて大丈夫です。
何かしなければ…と思ってしまいがちですが、ここは主役のロゴデザインが映えるように、見やすく・分かりやすく伝えることだけに注力しましょう。
そしてコンセプトや説明文は、小難しいデザイン論的な言い回しは必要ありません。
デザインに落とし込むまでに考えたことを素直に書けばOKです。
とは言えこれらのミスは、裏を返せば熱意の現れであることは間違いありません。
その姿勢は決して悪いことではありません。
ただ少しだけ、『前のめりになりすぎていないか?』と自問しながら客観的に見直すようにしましょう。
【まとめ】ロゴデザインをコンペで勝ち取る秘訣
繰り返しになりますが、プレゼンテーションでは『信頼感』を得ることがとても重要です。
そのために必要なことをまとめると、
- 比較案を見せる(3案がベスト)
- 扱いやすい体裁で作る(A4のPDF)
- コンセプトやデザイン要素を言葉で説明する
- おすすめを伝える
大切なことは、いかに親切なプレゼン資料かということです。
すなわちそれが『デザイナーへの信頼感』へつながるのです。
信頼感のある人となら、『また仕事したい』と思いますよね。
このようにプレゼンテーションのやり方一つで、次の仕事につながるチャンスも広がるのです。
未経験からフリーランスのデザイナーになったという方や、プレゼン経験の少ない初心者の方は、ぜひこの方法を実践してみてください。
ロゴデザインの方向性の絞り方や手順を確認したいという方は、こちらの記事もご参考にどうぞ。
ロゴデザインの方法5ステップ!プロのやり方を初心者向けに解説
ロゴデザインの他に、初心者のwebデザイナーにおすすめのお仕事案件を知りたいという方はこちらの記事もご参考にどうぞ。